協働ロボットの導入は、製造業や物流業など多くの産業で効率化と生産性向上の重要な鍵となっています。しかし、導入には市場の動向を理解し、様々な課題を克服する必要があります。
イレイズグループは、協働ロボットの導入支援をしており、企業が競争力を向上させるための強力なパートナーとなることを目指しています。今回は、協働ロボットの最新の市場動向と導入における課題に焦点を当て、成功への道筋を探ります。
協働ロボットの市場動向
協働ロボットの世界市場は急速な拡大を見せています。矢野経済研究所の調査によると、2032年には、出荷台数が43万台に達し、市場規模は驚異の1兆538億円に拡大すると予測されています。

この急激な市場の拡大は、AIや5Gといった先端技術の導入によるものが大きく、これらの技術は、協働ロボットの性能を大幅に向上させ、周辺機器や主要部品の高性能化・高機能化を促進しています。
この技術革新は、協働ロボットの導入可能な業界と需要分野を大幅に拡大しています。製造業だけでなく、物流業においても協働ロボットの導入は重要な選択肢となりつつあります。
協働ロボットの導入を検討されている方にとって、協働ロボット技術の進化と市場動向の理解は、将来的な戦略策定において非常に重要です。
経済産業省、一般社団法人日本ロボット工業会が提供しているロボット導入実証事業事例紹介ハンドブック2018で紹介されている事例を要約してご紹介します。
引用元 http://robo-navi.com/webroot/document/2018RobotHandBook.pdf
ロボット技術による人材課題の解決: ある製造業者の取り組み
事業内容:医療機器製造業

協働ロボット導入のきっかけ
ある製造業者は、特定の医療用消耗品の製造を行っており、年々増加する出荷量に対応するため二交代制を導入していました。しかし、早朝や深夜の人材確保と作業者の肉体的負担が増加する問題に直面し、ロボットの導入を検討し始めました。
ある展示会で目にした協働ロボットは、業者の必要条件(特定の重量制限、安全性、柵の不要)を満たしていたため、このロボットを基に「人とロボットが共存する環境」の構築を目指しました。
協働ロボットのティーチングやリスクアセスメントの設定は初めは困難でしたが、多くのパートナー企業と協力してシステムを完成させることができました。
このケーススタディは、ロボット技術が製造業における生産性向上と作業者の負担軽減にどのように貢献できるか、そして多様なパートナーとの連携がいかに重要かを示しています。また、新しい技術導入の際の課題とそれを克服するプロセスについても学べる実例となっています。
協働ロボット導入後の効果
ある製造システムでは、1台の協働ロボットが上流機4台からランダムに流れてくる製品を自動で仕分けし、それぞれの製品を品目別に下流のパレットに積み分ける作業を行っています。
このシステムの設計では、ロボットの最大可搬距離内にシステムを収めるのが難しく、設計は何度も見直されました。最終的には、パレット側がロボットと連動し、製品を品目別のパレットが迎えにくる形になり、システムは完成しました。
導入の結果、この工程に携わっていた2名分の人員削減が実現し、また、この工程で発生していた腰痛や椎間板ヘルニアといった健康問題への根本的な対策が可能となり、欠勤者もなくなりました。
初めはロボット操作の難しさや危険性に対する不安がありましたが、導入後はその不安が解消し、ロボットは愛称を持って仲間のように扱われるようになりました。
目標であった「人とロボットが共存できる環境の構築」は達成され、今後は他部署や協力会社にもこの技術を展開し、日本の製造業の底上げに貢献することを目指しています。
このケーススタディは、協働ロボットが製造現場でどのように効率化と健康問題の解決を同時に実現できるか、そして技術革新が職場の雰囲気や文化にどのように影響を与えるかを示しています。
ロボット技術で解決された製造業の課題: ラベル貼付作業の効率化
・事業内容:冷凍製品のラベル貼り

協働ロボット導入のきっかけ
あるパン製造工場は、石窯パンの製造を主としながら、関東エリアの物流拠点としても機能しています。この工場の業務の一部には、製品の冷凍品を解凍し、消費期限ラベルを手作業で貼り付けて出荷する作業が含まれています。
しかし、製品の品種と数量の急増に伴い、ラベル貼付作業は残業時間の増加と深夜作業につながり、作業者の確保が難しくなってきました。さらに、多人数による分散作業でのラベル貼付精度のバラツキや貼付ミスが発生し、顧客からの指摘も受けていました。
これらの課題解決のために、ラベル貼付作業のライン化と省人化を検討していたところ、システムインテグレーターからロボットによる自動ラベル貼付装置の紹介がありました。ただし、個単位での自動ラベル貼付では箱出し・箱取り作業が必要となり、省人化効果が限定的でした。
そこで、パン箱に入ったままでラベルの自動貼付が可能かを相談し、新たなシステム開発のチャレンジが始まりました。結果として、ロボットを活用したラベル貼付システムが導入され、ラベル貼付作業の効率化と作業者の負担軽減が実現しました。
このケースは、製造業におけるロボット技術の導入がいかに作業効率の向上と人材の適切な配置を促進できるかを示しています。
また、新しい技術導入が、既存の作業プロセスの改善と顧客満足度の向上に貢献する具体例となっています。
協働ロボット導入後の効果
新たに導入された協働ロボットとパラレルリンクロボットを組み合わせたラベル貼付システムは、パン箱単位での商品認識と、時間あたり3,000枚のラベル貼付を可能にする革新的なロボットシステムを開発しました。
可搬重量10Kgの協働ロボットは、4種類の箱をセンサーで識別し、パン箱の供給と排出を効率化する装置の開発がキーポイントとなっています。これにより、自動ラベル貼付システムが現実のものとなりました。
ロボットの導入により、以前は5名で9時間かかっていた約23,000個の解凍ラベル貼付作業が、2名で行えるようになりました。さらに、作業者による貼付精度のバラツキがなくなり、品質が安定。
ライン化による作業の一元化、カメラを用いた作業データの保存、そしてラベルシステムとの連携によるトレーサビリティ強化など、品質保証体制も大きく向上しました。
この進歩は、人とロボットが助け合いながら円滑に協働するモノづくりを目指す一歩となりました。ロボットを共に働く仲間のように感じ、更なる効率化と品質向上を追求していく意欲が強まっています。
このケースは、ロボット技術が製造業の課題解決と品質向上にどのように貢献できるかを示す好例となっています。
まとめ
今回ご紹介した事例は、当社の事例ではございませんが、協働ロボット導入のイメージが持ちやすいと思い、ご紹介させていただきました。
協働ロボットの導入をご検討の方は、ぜひイレイズグループにご相談ください。
ロボット導入だけでなく、製造ラインの効率化、制御盤の更新などワンストップでご対応が可能です。
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